みんなで作り上げる『シンデレラガールズ』10年の歩みとこれから 「THE IDOLM@STER CINDERELLA GIRLS NEXT LIVE発表会 SPECIAL STAGE」にかけた制作担当者の想い

2021年11月に10周年を迎える『アイドルマスター シンデレラガールズ』の新情報が明かされた「THE IDOLM@STER CINDERELLA GIRLS NEXT LIVE発表会」。当日発表された情報やスペシャルステージの振り返りから、制作担当者のインタビューまで、前後編にわたりイベントを特集します!

xR技術を活用したオンラインイベント/ライブが配信可能な自社スタジオとして、5月末にお披露目となったMIRAIKEN studio。次世代のエンターテインメントを創造・発信する拠点となるこの場所で、今年11月28日に10周年を迎える『アイドルマスター シンデレラガールズ』の最新ライブ情報を発表するトークショー&スペシャルステージ、「THE IDOLM@STER CINDERELLA GIRLS NEXT LIVE発表会  SPECIAL STAGE @ MIRAIKEN studio」(以下「NEXT LIVE発表会」)が行なわれました。

この日は大橋彩香さん(島村卯月役)、福原綾香さん(渋谷凛役)、原紗友里さん(本田未央役)、藍原ことみさん(一ノ瀬志希役)、青木志貴さん(二宮飛鳥役)、梅澤めぐさん(辻野あかり役)、富田美憂さん(砂塚あきら役)、河瀬茉希さん(桐生つかさ役)が出演。告知を含むトークショーと、xR技術でリアルとバーチャルを横断するミニライブが行なわれ、9月から全国を回る最新ツアー「THE IDOLM@STER CINDERELLA GIRLS 10th ANNIVERSARY M@GICAL WONDERLAND TOUR!!!」の開催も発表されました。

前編のイベントレポートに続き後編では、最新テクノロジーを使ったトークショー&スペシャルステージの裏側や『シンデレラガールズ』10周年への想いについて、制作を担当した梅木さん&脇田さんに聞きました!

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梅木 馨

第3IP事業ディビジョン ニュービジネスプロダクション プロデュース1課 『アイドルマスター』シリーズ全般の興行イベント関連、商品・サービス展開を担当

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脇田 和樹

第3IP事業ディビジョン ニュービジネスプロダクション プロデュース1課 『アイドルマスター シンデレラガールズ』の興行イベント、商品・サービス展開、プロモーション業務を担当。

「『シンデレラガールズ』の10周年にワクワクしてもらいたい」。制作陣が込めた想い

――5月27日に行なわれた配信イベント「THE IDOLM@STER CINDERELLA GIRLS NEXT LIVE発表会」は、どんなテーマで企画されたものだったのでしょうか。

梅木:『アイドルマスター シンデレラガールズ』は、支えてくださっているプロデューサーの皆さまのお陰で10周年を迎えますが、この10周年をプロデューサーの皆さまと一緒にお祝いさせていただくにあたって、「プロデューサーの皆さまにワクワクしてもらいたい」ということがテーマのひとつでした。タイトルに関しては、最初は他にもいろいろと候補を考えていたのですが、「次のライブの発表会」にした方がわかりやすいんじゃないかということで、最終的にこのタイトルに決まりました。

――MIRAIKEN studioでの最新技術を駆使しての発表会は、10周年に向けてのワクワク感を感じてもらうためにはピッタリなシチュエーションですね。

脇田:そうですね。梅木さんの話の通り、ライブの発表にあたっては、「ワクワクしてもらいたい」という気持ちをチーム全体で共有していました。せっかくMIRAIKEN studioで新しい表現を使えるのであれば、ライブコーナーにも力を入れて、皆さまに観たいと思ってもらえるものにしたいと考えていました。演出の皆さまをはじめ、こちらの要望に対して手を動かしてくださった方々のおかげで、実現できたと思っています。

脇田さん(左)、梅木さん(右)

――MIRAIKEN studioを使う利点について、何か感じたことはありますか?

梅木:まず、イベントを行うハードルが下がったというのが一つです。従来はイベント実施に向けて外部の会場やスタジオのスケジュールと、出演してくれるキャストの皆さまのスケジュールの2つを合わせる必要がありましたが、自社スタジオを利用することで、以前よりはキャストの皆さまのスケジュールに合わせやすくなりました。

また、xR技術を使ったパフォーマンスも、これまではできなかった演出を可能にしてくれます。ただ新しい技術を使うだけでは、すぐに見慣れてしまうと思うんです。ですから、常に工夫をしていく必要があると思っています。

――xR技術に頼りすぎてしまっても、おもしろいものにはならないんですね。

脇田:そもそも『シンデレラガールズ』の場合、昨年9月の配信「IDOLM@STER CINDERELLA GIRLS Live Broadcast 24magic ~シンデレラたちの24時間生放送!~」(以下「24magic」)以降、AR技術を使ったライブ演出を行なってきたので、プロデューサーの皆さまもすでにAR演出を何度か経験しています。ですから、皆さまが飽きないものにすることが大切でした。

また、今回は『シンデレラガールズ』として初めてMIRAIKEN studioを使う機会になったので、このスタジオでできることは極力詰め込みたいとも思っていました。そこで、ライブシーンはもちろん、トークコーナーでも『シンデレラガールズ』らしい世界観を用意させていただきました。「このスタジオではこんなことができますよ」ということをできる限り伝えたいと思っていました。

イベント制作中に感じた最新スタジオやxR技術の可能性

――第1部のトークパートの内容は、どんなふうに考えていかれたのでしょう?

梅木:トークパートではキャストの皆さまに過去の映像を観てもらい、ライブを軸に『シンデレラガールズ』10周年の歴史を振り返ってもらいました。キャストの皆さまがトークしやすいように、流したライブ映像についても印象に残っていそうなシーンをピックアップさせていただきました。私たちも当日、「たしかにこうだったな」といろいろなことを思い出しました。

AR演出に関しては、JUNGO氏に担当いただきました。演出面では、『シンデレラガールズ』に長年携わってくださっているJUNGO氏の演出プランをほぼそのまま採用させていただいています。私たちがリクエストしたのは、しいて言うなら「全編通してxR技術をふんだんに使ってください」ということと、「トークパートではバーチャルな巨大スクリーンを出せませんか」ということくらいでした。

――第2部のミニライブについても工夫したことを教えてください。

梅木:ミニライブの曲目については、キャストの皆さまに出演オファーをする前から、最初と最後は『お願い!シンデレラ』と『EVERMORE』に決めていました。『お願い!シンデレラ』は、『シンデレラガールズ』にとって初の全体曲なので1曲目にしています。

脇田:一方、最後に披露した『EVERMOREは、『シンデレラガールズ』5周年の楽曲として、これまでを振り返りつつ、これから先へ進んでいきますというメッセージ性のある曲なので、今回のイベントも合うんじゃないかと思ってセットリストの最後になっています。

『シンデレラガールズ』5周年の楽曲『EVERMORE』を最後に披露

――どの曲もゲーム内での風景を彷彿とさせるような演出があり、キャストの皆さんがゲームの世界に入り込むような雰囲気でした。中でも今回特に印象的だった曲はありますか?

梅木:『Brand new!』で床の高さが変化して、リフターのようにキャストの皆さんを押し上げる演出はすごいと思いました。全体としても、昨年の「24magic」や今年1月の「THE IDOLM@STER CINDERELLA GIRLS Broadcast & LIVE Happy New Yell !!!」(以下「Happy New Yell !!!」)を経て、AR技術を使ったライブ演出の進化を感じました。

脇田:『Brand new!』のリフターの演出は現実での実現難易度はとても高いような印象があるので、今回だからこそ実現できた演出かな、と思います。

また、今一緒に働いているチームに最近TVアニメ版を観たばかりのスタッフがいるのですが、作中でも印象的なニュージェネレーションズ(島村卯月、渋谷凛、本田未央)の『流れ星キセキ』が今回のライブで観られて感動したようです。3rdLIVEの衣装も相まって、「ニュージェネってこういう雰囲気だよな」と皆さんがイメージするようなものにできていたのかな、とも思いました。

ニュージェネレーションズ(島村卯月、本田未央、渋谷凛)の「流れ星キセキ」

『アイドルマスター』シリーズのライブはみんなで作るもの

――『シンデレラガールズ』のライブで日頃から皆さんが大切にしていることがあれば教えてください。

梅木:『シンデレラガールズ』のライブは、日々アイドルをプロデュースしてくださっているプロデューサーの皆さまが集まって、そのプロデュースの成果を同僚の皆さまと確認するための場所と個人的には考えています。ですから、リアルのイベントでも配信イベントでも、そういった楽しみ方をしていただけるような工夫を常に意識しています。運営側が一方的に何かを提供するのではなく、キャストの皆さまもプロデューサーの皆さまも一緒に「みんなで作るイベント」だということは、いつも大切にしていることです。

脇田:その結果、ゲームだけでは体験できない、アイドルたちのプロデュースの成果を感じられる場所として、楽しんでいただけたら嬉しく思っています。

――『アイドルマスター』シリーズにおいて、ライブはアイドルたちの晴れ舞台ですからね。

脇田:そうですね。今回もイベントを通じて、こちらが考えている以上に皆さまが『シンデレラガールズ』の次のライブに期待してくれていることを感じました。配信でのコメントやSNSでの反応を見させていただくなかで、次への期待を高めてもらう場にできたのかな、と感じているところです。

――9月からスタートする10周年記念ツアー「THE IDOLM@STER CINDERELLA GIRLS 10th ANNIVERSARY M@GICAL WONDERLAND TOUR!!!」について、現時点でお伝えできる範囲でプロデューサーの皆さまに楽しみにしていてほしいことがあれば教えてください。

梅木:まだ一部の公演のテーマしか発表されていませんが、「ワンダーランド」と称した会場ごとに異なる演出が用意されています。はたしてどんなテーマになっているのか、今からぜひ楽しみにしていてください。

脇田:もともと、今年の1月に行なった「Happy New Yell !!!」は有観客の予定だったものが非常に残念ながら無観客での配信ライブとなりました。そう考えると、『シンデレラガールズ』の有観客ライブとしては7thLIVE以来、1年半振りです。プロデューサーの皆さまが同僚の皆さまと語り合える場所にしていただければいいと思っています。

今、『アイドルマスター』シリーズの他のブランドではすでに有観客でのライブがはじまりつつありますが、実際に会場でプロデューサーの皆さまの顔を拝見すると、我々もより楽しんでいただけるものにしたいと改めて感じます。『シンデレラガールズ』のライブを通して、プロデューサーの皆さまの表情が明るいものになってもらえたらいいなと思っています。

梅木:私たちはあくまで陰ながらサポートをして、皆さまがアイドルたちをプロデュースしやすい環境を作ることが仕事と思っています。ですから、「これからも皆さまと一緒にイベントを作っていきましょう!」という気持ちです。時にはいろいろとご意見をいただくこともありますが、その声もできるだけ参考にさせていただきながら、双方向的な形で進めていきたいと思っています。

脇田:「ここが嬉しかった」「もっとこうしてほしい」という意見は、実際に参考にさせていただいています。やはり、『アイドルマスター』はプロデューサーの皆さまの声あってこそなので。今後も、『シンデレラガールズ』のライブを一緒に作っていっていただけるとうれしいです。

【取材後記】
普段はそれぞれにアイドルたちをプロデュースしている人々が集まる「同好の士の集いの場」として愛されてきた『アイドルマスター』シリーズならではのライブ体験を大切にしつつも、自社スタジオの最新技術を駆使して行なわれた「THE IDOLM@STER CINDERELLA GIRLS NEXT LIVE発表会」。9月から全国4都市で開催される10周年ツアーは、はたしてどんなものになるのでしょうか? 今からワクワクしますね!

取材・文/杉山 仁
フリーのライター/編集者。おとめ座B型。三度の飯よりエンターテインメントが好き。

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