「おうちでドンカツ!太鼓の達人eスポーツ オンライン大会!」どの世代も熱く戦った6部門の試合をレポート

Nintendo Switch用タイトル『太鼓の達人 Nintendo Switchば~じょん!』の公式esports大会として開催された、「おうちでドンカツ!太鼓の達人eスポーツ オンライン大会!」。6部門各3名、計18人による決勝が、2020年8月30日(日)にライブ中継によってオンライン開催されました。今回はその様子をレポート! 大会を企画したesports課の池田弘典さんにもコメントをいただきました。

「おうちでドンカツ!太鼓の達人eスポーツ オンライン大会!」は名前の通り、1次予選は“課題曲のスコアを撮影した写真をTwitterに投稿する”という方式。続く2次予選は“1次予選各部門のスコア上位20名が新たにプレイ動画を送付する”という、これまでと違う新たなスタイルの大会として実施されました。

そして、そんな予選を突破した6部門各3名、計18人による決勝が、2020年8月30日(日)にOPENREC.tv、YouTube、アソビストアでのライブ中継によってオンライン開催されました。

豪華ゲストが揃った決勝戦は、一発勝負の緊張感漂うスタジオからの生中継!

「おうちでドンカツ!太鼓の達人eスポーツ オンライン大会!」より
左から、ごにはさん、よすがさん、よみぃさん、青木瑠璃子さん、五十嵐裕実さん、OooDaさん

スタジオには、MCとしてOooDaさん、スペシャルアンバサダーとしてごにはさん(ゲーム実況者)、よすがさん(太鼓の達人 世界一決定戦2016チャンピオン)、よみぃさん(楽曲提供者)という『太鼓の達人』お馴染みの3名、そしてゲストとして声優の五十嵐裕美さんと青木瑠璃子さんが集合。

「おうちでドンカツ!太鼓の達人eスポーツ オンライン大会!」より

各部門のプレイヤーは事前にオンラインでの審査員立ち合いのもと一発勝負で課題曲2曲を演奏しており、そのプレイ動画をスタジオで一斉に視聴。2曲の合計スコアによって優勝者を決めるという方式で決勝戦が行われました。

よすがさんはこの方式について、「普通の大会はたくさんの観客の前で緊張しながらプレイしますが、今回の決勝戦では慣れた環境でプレイできる」と指摘。しかし、その一方で「オンラインで審査員が立ち合い、一発勝負でプレイしているという点では、また違う緊張がありそう」ともコメントしていました。 さあ、各部門の様子を見ていきましょう。

早くも接戦!キッズ部門「ふつう」決勝戦

未就学児含む小学3年生以下によるキッズ部門。その難易度「ふつう」から決勝戦はスタート。

いつき選手
いつき選手
どんちゃん選手
どんちゃん選手
わたなべるい選手
わたなべるい選手
「おうちでドンカツ!太鼓の達人eスポーツ オンライン大会!」より
「おうちでドンカツ!太鼓の達人eスポーツ オンライン大会!」より

決勝戦の1曲目となる課題曲は、人気ダンスチューン「R.Y.U.S.E.I.☆5(ふつう)」。 よみぃさんは「(ハイスコアを獲得するためには)曲自体を聴き込むことが重要」と解説していましたが、3人とも自宅環境での落ち着いたプレイで余裕の90万点越えのハイスコアを記録。さすが決勝進出者といった実力の持ち主ばかりです。

「おうちでドンカツ!太鼓の達人eスポーツ オンライン大会!」より

2曲目は「他の曲と比べて長めなので集中力が必要」とよすがさんが指摘した「もじぴったんメドレー☆4(ふつう)」。

かわいらしい楽曲を2人がフルコンボでクリア! そしてスコアについても3人とも90万点越えとなりました。

いつき選手

早くも接戦となったキッズ部門「ふつう」決勝戦。その勝負を制したのは、「不可」「可」判定を少なく抑えた、最年少のいつき選手。

いかに減点を避けるかが勝負を分けたという点で、以降の部門も含め決勝戦全体を象徴するような試合となりました。

小学校低学年とは思えないテクニック連発。キッズ部門「むずかしい」決勝戦

続くキッズ部門「むずかしい」決勝戦の出場選手は3名とも小学3年生という、同学年の勝負に。

かんわある選手
かんわある選手
しのぶ選手
しのぶ選手
大晴選手
大晴選手
しのぶ選手

「イントロのテンポが遅く、演奏がズレやすい」とよすがさんが解説する「残酷な天使のテーゼ☆6(むずかしい)」を制したのは、かんわある選手。しかし、2位のしのぶ選手との差は約1000点というギリギリの勝負。次の曲でも油断はできません。

2曲目の「ナムコットメドレー☆6(むずかしい)」は、往年の人気曲のメドレー。スタジオからは「懐かしい〜!」との声や、思わず一緒に歌ってしまう声が聞こえたりと、非常に楽しい勝負に。

しかし、その一方でテンポチェンジが多く演奏するのには難しい譜面も多々。「かんわある選手は連打数が多く点数を稼げたのですが、”可”の数がしのぶ選手に比べて多かったのが勝敗を分けましたね」とよすがさんが話す通り、プレイの正確性がポイントとなり、しのぶ選手が1位を獲得する結果となりました。

逆転優勝したしのぶ選手は、スタジオからの「練習するときに心がけていることは?」という質問に対し「お母さんから『楽しく遊んでね』と言われているので、楽しむことを心がけています」とコメント。そんな様子に、しのぶ選手が尊敬するプレイヤーとして挙げるごにはさんは「まっすぐ育ってほしい」と笑顔を浮かべていました。

大人に迫る迫力! 小学校高学年部門「むずかしい」決勝戦

キッズ部門「むずかしい」の時点でよみぃさんが「手元が安定していて、かなりプレイしているのが伝わってくる」と漏らしたように、大会は早くも大人も驚くレベルに到達。

小学4~6年生を対象とした小学校高学年部門。その難易度「むずかしい」に出場するのは、全員が小学6年生です。

あみ選手
あみ選手
いぶき選手
いぶき選手
にんげん選手
にんげん選手

よすがさんが「『太鼓の達人』といえばこの曲!と言っても過言ではない有名な曲で、楽しく叩ける譜面が特徴」と語ったのは、「エンジェル ドリーム☆7(むずかしい)」。

安定した手元によってコンボを途切れさせない接戦となり、連打数で勝ったにんげん選手が1位に。

2曲目の課題曲は「塊オンザロック~メインテーマ☆7(むずかしい)」。よすがさんが「『エンジェル ドリーム☆7(むずかしい)』より難しいかも」と語るだけあって、先ほどよりも「可」判定が多めの傾向に。しかし、そんななか「可」を3つに抑える正確なプレイを見せたあみ選手が唯一の100万点越えを記録し、1位となりました。

あみ選手

「画面から緊迫感が伝わってきて楽しかった」とよみぃさんが語った決勝戦で優勝を果たしたのは、あみ選手。2曲とも可をほとんど出さない正確さが勝負の決め手となりました。“これだけは負けない特技”としてエレクトーンを挙げていたように、やはり楽器経験は『太鼓の達人』にも有利に働くのかもしれません。

高難易度楽曲での熱い勝負! 小学校高学年部門「おに」決勝戦

続く小学校高学年部門「おに」には、小学校5年生のかぶとむし選手、小学校6年生のカラトリ選手、たいよう選手が出場。

かぶとむし選手
かぶとむし選手
カラトリ選手
カラトリ選手
たいよう選手
たいよう選手

「何種類ものリズムが出てくる難しい曲」とよみぃさんが指摘する高難易度の課題曲「Silent Jealousy☆8(おに)」ですが、2選手が100満点オーバー。残るカラトリ選手も僅差というハイレベルな試合となり、青木さんが「いろんな試合を見てきて目が肥えたと思うのに、目が追いつけない」と驚くほど!

「小学生でニジイロver 金十段なんてアーケード段位を取っているのは本当にすごい」とごにはさんとよすがさんが驚嘆したたいよう選手が、「可」を4つに抑える正確なプレイによって見事1位を獲得。

続く課題曲「たのしい太鼓道場☆8(おに)」は、ごにはさんが「曲名と裏腹に、最後が本当に難しい。☆10くらいあってもおかしくない」と語る難曲。

しかし、たいよう選手が見事に100万点に迫る高得点で連続1位! ごにはさんが「3選手とも僕よりスコアが高い」と絶賛する好ゲームでしたが、たいよう選手がストレートで優勝を決めました。

たいよう選手

よすがさんが「僕より上手いのではないか」と驚くほどの実力の持ち主であるたいよう選手ですが、「勝てるとは思っていなかったので、勝ててよかった」と謙虚なコメント。『太鼓の達人』に新たなスター候補が誕生した瞬間かもしれません。

雰囲気が一転! 一般部門「むずかしい」決勝戦

いよいよ「おうちでドンカツ!太鼓の達人eスポーツ オンライン大会!」の決勝戦も佳境に突入。

中学生以上を対象とした一般部門の難易度「むずかしい」は社会人1名と中学生2名が出場する、世代を超えた勝負に。スタジオの青木さんは唯一の社会人しょう選手について「やっと近い世代の方ができてくれたので、それだけでも応援したい」とコメントしていました。

しょう選手
しょう選手
はるたろう選手
はるたろう選手
もっぺ選手
もっぺ選手

課題曲「おにぎりはどこかしら♪☆8(むずかしい)」について、作曲者のよみぃさんは「“ドン”に対して“カッ”が多い譜面が特徴。それをどう叩くのかがポイントになると思う」と解説。しかしさすがは決勝戦です。はるたろう選手ともっぺ選手がフルコンボで100万点オーバーの好成績を叩き出し、僅差ではるたろう選手が1位の座に。

ごにはさんが「ゲームミュージックらしい曲」と語る「KARMA(Tatsujin Mix)☆7(むずかしい)」は、トリッキーな譜面が印象的ですが、難なく3選手ともフルコンボクリア。

しかし、やはり「可」の数の少なさによってはるたろう選手が2曲連続100万点越えの1位に輝きました。

はるたろう選手

「しょう選手はあまりアレンジしない譜面通りのプレイ。はるたろう選手ともっぺ選手はかなりアレンジを入れるプレイスタイルなので、叩き方の違いもおもしろかった」とごにはさんが語る好勝負。

ストレートで優勝を決めたはるたろう選手は「“全良”したい気持ちがあったので、惜しい記録で悔しかった」とストイックにコメント。これにはよみぃさんが「普段から“全良”を目指しているというのはすごい」と驚いていました。

ついに“全良”が出る!? 一般部門「おに」決勝戦

決勝戦を締めくくるのは、一般部門の最高難易度「おに」。

よすがさんが「全員知ってます。ランクマッチでもよく当たります」と語る、全国でも指折りの猛者3選手がそろい踏みました。

タコッチ選手
タコッチ選手
 はる~~ん選手
はる~~ん選手
ゆっくり選手
ゆっくり選手

課題曲1曲目は『太鼓の達人』の中でも比較的新しい収録曲となる「ゴッドソング☆8(おに)」。

立ち上がりから高難易度の譜面が続く曲ですが、楽しそうにプレイする様子にはスタジオから驚きの声が。

「全員“可”が一桁ですね、すごい」とよみぃさんが語るとおり、非常にハイレベルな戦いとなりましたが「可」が1つだけという成績を残したはる~~ん選手が1位を獲得する結果に。

そして最後の課題曲は「No Way Back☆9(おに裏)」。この超難曲に、ごにはさんは「非常に接戦なので音符1個のミスで勝敗が変わる厳しい試合になるでしょう」と予想。スタジオが緊張に包まれます。

全編を通して非常に難しい曲ながらも、よすがさんとよみぃさんがポイントとして挙げたのは中盤のギターソロ。その高速かつ複雑な譜面はまさに“おに裏”にふさわしい難易度です。しかし、どの選手も怖気づくことなく堂々とプレイを続け、まさかの展開に。

なんと全員が100万点オーバーの好記録。さらに、はる〜〜ん選手はすべての判定が「良」の“全良”を獲得!

これには「ここまでいろんな難易度の試合があったけど、最後で初めての“全良”。すごい集中力!」(青木さん)、「ついに“全良”が出ちゃいましたね。『出ないかな』と思ったら最後の最後で。さすがのプレイだと思いました」(よすがさん)、「見れてうれしい。ゆっくり選手も“可”が一つだけで、本当にすごい」(五十嵐さん)、「たこっち選手の“可”7つでも十分にすごいレベルですよ」(ごにはさん)とスタジオ一同大絶賛。

はる~~ん選手

優勝を決めたはる〜〜ん選手は中継で「いつもの大会はみんな人がいて盛り上がるなかでの緊張だったけど、今回は逆に静かすぎて心臓がキューってなるような緊張がありました」と語る一方、「今後も出られる大会には出続けて、全部優勝を目指したいです」と王者らしいコメントを残して、大会決勝戦を締め括ってくれました。

「おうちでドンカツ!太鼓の達人e スポーツ オンライン大会!決勝戦」結果まとめ

優勝者一覧

キッズ部門「ふつう」:いつき選手

キッズ部門「むずかしい」:しのぶ選手

小学校高学年部門「むずかしい」:あみ選手

小学校高学年部門「おに」:たいよう選手

一般部門「むずかしい」:はるたろう選手

一般部門「おに」:はる~~ん選手

家庭用『太鼓の達人』初となるオンライン大会。開催の裏側は?

初のオンライン開催とは思えない盛り上がりを見せた『おうちでドンカツ!太鼓の達人 e スポーツ オンライン大会!』。その裏側にはどんな工夫があったのでしょうか? 大会のご担当者である池田弘典さんに伺いました。

Recipe Image

池田弘典さん

第3IP事業ディビジョン ニュービジネスプロダクション esports課 チーフ

−−これまでの完全オフラインでの開催と比べて、本大会にはどのようなところに違いがありましたか?

池田:他のタイトルであれば、オンラインでの大会開催自体は珍しくはないのですが、「太鼓の達人Nintendo Switchば~じょん!」には対戦相手を指定できるオンライン対戦機能がなかったため、ゲーム内だけでは対戦が完結しないという部分が一番苦労した点となります。 結果的には参加者にプレイ中の様子を撮影・中継していただき、そのスコアを比較するという疑似的なオンライン対戦での実施となったのですが、相手の姿やプレイが見えない状態で、公平性の担保はもちろんですが、esports特有の競っている感覚、試合の緊張感をどうやって演出するかという点を工夫しました。

−−大会配信の盛り上がりも普段とは違う緊張感に湧いていましたね。オンライン大会にして良かった点はどんなところですか?

池田:良かった点は、大会の募集部門を細かく分けて実施できたことです。オフラインイベントで全国大会を実施する場合、集客や運営などさまざまな理由で6部門もの大会を同時に実施するのはなかなか難度が高いのですが、今回はオンラインということで複数の部門を同時に進めることができました。 esportsは、全員が頂点を目指すわけではなく「難易度『むずかしい』であれば私(僕)にもできそうだから参加してみる!」でも良いと思うのです。今回、年齢や腕前別で参加部門を作れたのは大きいと感じています。

−−実際に皆さんがオンラインで試合をされた様子を見て、いかがでしたか?

池田:決勝大会を観ていただければ感じられると思いますが、「おうち」という日常の風景のなかで選手たちが真剣にプレイするのをみんなで見守るという、他ではなかなか見られない温かみのある大会となったのではないかと思います。テレビの周りに太鼓の達人グッズがある方や、過去に実施された『太鼓の達人』大会の上位入賞者にお渡ししたパーカーを飾ってくれた方もいました。

2019年に実施した小学生向けの全国大会「小学生ドンカツ王決定戦!」の大阪予選で優勝したはるたろう選手が今年は中学生になって一般「むずかしい」部門で優勝し、大阪予選で惜しくもはるたろう選手に負けたたいよう選手が高学年「おに」部門で優勝するなど、過去の小学生大会で活躍した選手たちに今年も参加してもらって、活躍されているのがとてもうれしいです。さまざまなドラマやストーリーが今まさに紡がれているのを感じられました。

−−今後も本大会のような形の大会の実施は考えられていますか?

池田:あくまでも希望ですが、今大会でオンラインでの実施にあたっての良い点も改善が必要な点も分かりましたので、ブラッシュアップした大会を実施したいと考えております。完全オンラインだけではなく、オフラインとオンラインを組み合わせることも考えつつ、“新しい生活様式”に合わせた“新しいesports大会”のカタチを模索して、より多くの人たちに広げていきたいです。

【取材後記】
大会参加者、出演者、オーディエンス、そして大会運営スタッフの想いがひとつとなって、これまでにない新しい盛り上がりを生み出すことができた『おうちでドンカツ!太鼓の達人e スポーツ オンライン大会!』。まだ今後を見通すには難しい社会状況が続いていますが、みんなの工夫が新しいエンターテインメントを作っているのもまた事実。これからの『太鼓の達人』やesportsの展開が楽しみになる、オンライン大会でした。

取材・文/坂上 春希
1984年生まれのコンテンツプロデューサー。ライター/カメラマンとしても、ガジェット、ビジネス、インテリア、カルチャー、テクノロジー等の分野に渡りメディアや広告の分野で活動中。