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プレイヤーの選択によってキャラクターの生死を決めるホラー体験。『ダーク・ピクチャーズ:マン・オブ・メダン』の魅力

フランスのリヨンに本社を構えるバンダイナムコエンターテインメントヨーロッパ(以下、BNEE)に向かい、制作陣に話を聞く取材記事の第3弾。今回は、無数の選択肢によって物語の結末が幾重にも変化するホラーアンソロジー作品『ダーク・ピクチャーズ』の第一弾『マン・オブ・メダン』について、パブリッシング部門の責任者とプロデューサーにうかがいました!

バンダイナムコエンターテインメントヨーロッパのパブリッシング部門の責任者、カトリン・ダロールさん、『ダーク・ピクチャーズ』作品集全体のプロデューサー、ギャレス・ベッツさん
バンダイナムコエンターテインメントヨーロッパのパブリッシング部門の責任者、カトリン・ダロールさん、『ダーク・ピクチャーズ』作品集全体のプロデューサー、ギャレス・ベッツさん

「何を選択するか?」だけでなく、「誰と選択するか?」も重要なホラーアンソロジー

――『ダーク・ピクチャーズ』は、BNEEと、『Until Dawn – 惨劇の山荘 -』などで知られる制作会社Supermassive Gamesがタッグを組んだホラーアンソロジー作品※で、現在のところ、第1弾にあたる『マン・オブ・メダン』が発売されていますね。

※アンソロジーとは、特定のテーマでまとめられた作品集のことをいう。

カトリン:『ダーク・ピクチャーズ』作品集は、Supermassive Gamesにとって初めてのアンソロジー作品で、一緒に手掛けられることをとても光栄に感じています。アンソロジーの場合、通常の連作(エピソディックモデル)のように1番目のゲーム、2番目のゲームと順にストーリーを追っていくことで世界観を理解するのではなく、どのゲームからでもエントリーが可能です。たとえば2番目のゲームで4番目のゲームについて理解を深めたりもできる。そういった特徴があります。と同時に、すべての話が世界観を共有している必要もあるんです。私たち自身、これはとても面白い試みだと感じています。

インタビューに答えるカトリンさん

ギャレス:制作を担当したSupermassive Gamesは、『ダーク・ピクチャーズ』用にさまざまな映画やテレビ番組、本などから、約39にも及ぶホラーのジャンルを参照しているんです。なので、タイトルごとに異なるタイプのホラーが楽しめると思います。たとえば、『マン・オブ・メダン』の場合は、「ホームインベンション・ホラー(家宅侵略もの)」と、「ゴーストシップ・ホラー(幽霊船もの)」がミックスされていて、そこに謎めいた雰囲気も漂っています。

――『ダーク・ピクチャーズ』を通して、ホラーというジャンルの幅広さや豊かさを伝えられる作品なのかもしれませんね。

ギャレス:その通りだと思います。また、『ダーク・ピクチャーズ』では、どのキャラクターも常に3つの選択肢を持っています。その選択肢の1つ目を選ぶのか、2つ目を選ぶのか、それとも何も選ばないのかは、すべてプレイヤーに委ねられているんです。そのすべての会話や変化する物語のパターンが、まるで蜘蛛の糸のように膨大な形で張り巡らされています。

インタビューに答えるギャレスさん

カトリン:私は20年間ゲーム業界で働いていますが、ここまで選択肢がリッチで、内容が深いものはなかなかないと思います。1回のプレイ時間は短めのゲームではありますが、その間に幾通りもの選択肢が用意されていて、エンディングについても、本当にいくつもの結末が存在します。仮に全員が生き残るルートを進んだとしても、その中でさらにさまざまな種類のエンディングが用意されています。

ギャレス: 5人の登場人物は、プレイヤーの行動によって生き延びたり、死んでしまったりと、さまざまな運命を辿っていくのです。シナリオをたくさん用意しなければいけないという意味では非常に大変ですが、プレイヤーごとに物語を別の角度から楽しめる体験は、とてもクリエイティブだと思っています。

カトリン:選択によっては、全員が死んでしまう可能性もありますよ。

ギャレス:また、たとえばホラー映画だと、見る側ができる行動と言えば「怖いシーンで身を隠して見ないようにする」という程度だと思いますが、『マン・オブ・メダン』では2種類のマルチプレイヤーモードがあり、オンラインでは2名、操作する人を複数人に振り分けて、オフラインでは2名〜5名でプレイすることができます。オンライン上で共同プレイを楽しむこともできますし、週末に友達とどこかに集まって、コントローラーを手渡しながら、ワイワイとゲームを楽しむこともできます。

▲『マン・オブ・メダン』には、「ソロプレイ」以外に、「シェアストーリー」モード(オンラインマルチプレイ)と「ムービーナイト」モード(オフラインマルチプレイ)が存在

カトリン:つまり、「ソーシャルな魅力を持ったホラー作品」になっているんです。

――「自分がゲーム内でどう行動するか」だけでなく、「誰と一緒にプレイするか」という外的要素によっても、物語体験そのものが大きく変わっていくということですね。

ギャレス:そうですね。また、各キャラクターはとても個性がはっきりしていて、多様な人物がいますから、物語を進めるにつれて、彼/彼女たちの人間性も分かる仕組みになっています。キャラクターについてもSupermassive Gamesとかなり話し合いました。

目指したのは、膨大な可能性から自分の運命を導き出す「リッチな物語体験」

――『マン・オブ・メダン』の中で、お2人が好きなキャラクターがいれば教えてください。

カトリン:私はフリスですね。彼女は強い女性ですし、ゲームの序盤でほかのみんなに「気を付けて」と助言していて。実際に彼女の言う通りになりましたよね。

ギャレス:僕はオルソンです。オルソンはプレイできるキャラクターではないのですが、彼が画面に現れると、「何か起こるんじゃないか」という気にさせられます。

ギャレス:ちなみに、好きなキャラクターについて聞くと、みんなジュリアを選ばないんですよ(笑)。とはいえ、キャラクターの性格はプレイヤーの行動によっても変化しますから、あるキャラクターのことが最初は好きではなかったとしても、「こんな一面があるんだ」と愛着を持つこともあるでしょうし、また逆に嫌いになることもあると思います。

――『マン・オブ・メダン』だけでなく、『ダーク・ピクチャーズ』作品集を通じて登場するという謎のキャラクター、キュレーターもとても印象的な人物ですね。

カトリン:『ダーク・ピクチャーズ』の各タイトルはそれぞれ独立していますが、「キュレーター」はそれらすべてを繋ぐ役割を果たしています。そして、現時点ではそれ以外はすべてミステリーで、私たちからこれ以上話すことはできません(笑)。本当は話したいところですが、『ダーク・ピクチャーズ』はミステリーの要素が大切な作品です。それぞれのゲームを楽しんでいただくためにも、謎は謎のままにして、驚いていただきたいのです。

ギャレス:とはいえ、彼は『ダーク・ピクチャーズ』作品を繋げるキーマンですから、じっくり観察してみることをおすすめします。また、各タイトルには、ほかのタイトルにまつわるヒントが隠されていたりもするので、それぞれのゲームの細部に注目してみてください。ディテールに目を向ければ、いろいろなことが見えてくるはずです。なかには、かなり巧妙に隠されているものもありますよ。

――『ダーク・ピクチャーズ』第2弾となる2020年発売予定の『Little Hope』についても、現時点で何か教えてもらえることはありますか?

ギャレス:そうですね……。『Little Hope』は、アメリカのセイレムで1692年に起きた魔女裁判をモチーフにしています。

カトリン:とはいえ、この作品に関しても、話せることはまだ本当に少ないんです(笑)。

――分かりました。実際にプレイするのを楽しみにしています! ところで、お2人はそもそもホラー作品はお好きだったのですか?

カトリン:実は、私はものすごく怖がりなんですよ。なので、通常のホラーゲームはプレイすること自体が厳しいです(笑)。ですが、『マン・オブ・メダン』のムービーナイトやオンラインで誰かと一緒にプレイすると、間違って登場人物を殺してしまって、「何てことをしてしまったの!?」と慌てて叫んだり。怖いだけでなく、とても楽しい体験ができると思います。

ギャレス:僕はホラー作品の大ファンで、幼少期から本や映画、ラジオなどさまざまなものに触れてきました。モノクロ時代のものから、独立系の映画、現代の作品にいたるまで、今存在するホラー作品のほとんどを観ていると言っても過言ではないと思います。Supermassive Gamesのことは、もちろん『Until Dawn – 惨劇の山荘 -』で知っていましたから、一緒に仕事ができたことはとても光栄です。

インタビューに答えるカトリンさんとギャレスさん

プロダクションとの共同作業で大切なのは、「お互いがイコールな関係」であること

――『ダーク・ピクチャーズ』のように、外部のプロダクションと手を組んで作品をつくることには、自社だけで新規IPを生み出すのとはまた違った魅力があるのではないかと思います。お2人はこうした制作について、どんな魅力ややりがいを感じますか?

カトリン:プロダクションと私たちの間で、いいバランスを見つけることにやりがいを感じます。オリジナルIPの作品でない場合、私たちがすべてコントロールできるわけではないですから、いい作品をつくるためにはいいパートナーを見つけて、お互いを補い合える、イコールの関係を築くことが大切です。例えるなら、「愛し合っているような関係性」ということですね。彼らも成長し、私たちも成長し、長期的に強固な関係性を築けたらと思っています。

ギャレス:やはり、双方向の関係性であることが重要です。BNEEでの仕事を通して、イノベーションを持った会社や才能のある人たちと働けることは、とても幸せなことだと思っています。

カトリン:私たちは現在、『ダーク・ピクチャーズ』以外にも、いくつかのパートナーとプロジェクトの可能性を探っています。ゲームがその中核ですが、なかにはゲームを越えた体験を目指すものもあります。近年はメディア間の境目が曖昧になっていて、いろいろな要素がミックスされ、混ざり合うような状況が生まれていますよね。ですから、これからゲームがテレビ番組のようになるかもしれませんし、本や映画になるかもしれません。そのさまざまな可能性に興奮しますし、とても楽しみです。

インタビューに答えるカトリンさんとギャレスさん

ギャレス:例えば、近年、視聴者がゲームのように選択肢を選びストーリーが進行するインタラクティブ・ドラマが登場しています。作品の形が多様化されることで、既存メディアのあり方にとらわれない新しいエンターテインメントが生まれるはずですし、私はそういった変化にとても興味があります。ジャンルの境目を壊すようなものを、私たちもいろいろと考えていきたいです。未来は間違いなく、私たちの手の中にあるはずですからね。

新感覚ホラーアドベンチャー
『THEDARKPICTURES:LITTLE HOPE(リトル・ホープ)』が2020年発売決定!

取材時にはまだ話せなかった『THEDARKPICTURES:LITTLE HOPE(リトル・ホープ)』の最新情報が発表され、2020年に発売が決定!

物語の舞台は、放棄され孤立した町「リトル・ホープ」。 この町には、17世紀の“魔女裁判”による忌まわしい過去が隠されている――。プレイヤーは、この町の深い霧に閉じ込められた4人の大学生とその教授、合計5人の登場人物を操り、彼らを地獄へ引き摺り下ろそうと容赦なく迫り来る“何か”に怯えながら、生きて還る手段を探していきます。

「MAN OF MEDAN(マン・オブ・メダン)」同様に、ゲーム内で度々迫られるプレイヤーの“選択”が、5人の登場人物の運命と物語の結末を大きく左右することに。果たして全員が生還できる方法はあるのか!? ユーザーの“選択”が問われる新感覚ホラーアドベンチャー体験をお楽しみください!(対応機種:PlayStationⓇ4/Xbox One/STEAMⓇ)

最新映像も公開!

今後の続報は、公式サイトをチェック!
「THE DARK PICTURES」製品公式サイト:https://darkpictures-jp.bn-ent.net/
「BANDAI NAMCO Entertainment」公式ツイッターアカウント:@bnei876

【取材後記】
「仕事相手とイコールな関係でありたい」。そう語るカトリンさんとギャレスさんは、取材の合間もお互いに冗談を言いながら、フランクな雰囲気で会話をしていることが印象的でした。『ダーク・ピクチャーズ』は、これからさまざまなタイトルが発売される予定。今後の展開にも期待大です!

【取材・文 杉山 仁 プロフィール】
フリーのライター/編集者。おとめ座B型。三度の飯よりエンターテインメントが好き。