アソビ×暮らす

地域活性のためにエンタメとメディアができること。BNJ×IDLプロジェクト座談会(前編)

地域と協働してエンタメで社会課題解決に取り組むバンダイナムコエンターテインメントのプロジェクト「BNJ Project」。編集とメディア力で社会課題解決に取り組むインフォバーンの「IDL ソーシャルデザインチーム」。地域活性に取り組む本質的な理由について語り合う。

地域活性化は、楽しくて“やらずにはいられない”仕組み作りで

自社のコンテンツを活用し、地域と連携した新たなエンターテインメントを創出して、ビジネスへの発展を目指す「BNJ Project」。そして、デザインコンサルティング部門「INFOBAHN DESIGN LAB.(IDL)」の中で、都市や地域の社会課題を発見し、それを解決するための持続的かつ創造的な仕組みづくりを行う「IDL ソーシャルデザインチーム」。異なる立場から地域協働に取り組む2つのプロジェクトチームが、それぞれの想いを語りました。

社会課題に取り組むワケ

「BNJ Project」(以下、BNJ)も「INFOBAHN DESIGN LAB.」(以下、IDL)も、地域に注目し、自社が培ってきた知見や技術を活かしてビジネス創出を目指す点は同じですが、その理由やアプローチには異なる点も。お互いの考えを話す座談会が行われました。

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写真左から、尾作慶一さん(BNJ)/坂本純一さん(BNJ)/菊田政仁さん(BNJ)/白井洸祐さん(IDL)

BNJ プロジェクト発足の経緯

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白井洸祐さん(以下、IDL 白井):BNJとして、これまでエンターテインメントという軸で、さまざまな施策にチャレンジしてきたとのことですが、もともとバンダイナムコエンターテインメントが地域活性化に取り組み始めた理由は何でしょうか?

菊田政仁さん(以下、BNJ 菊田):きっかけは新規事業創出の社内のビジネスコンテストでした。「地域とバンダイナムコエンターテインメントで一緒にプロジェクトを作ろう 」というテーマにおける挑戦で生まれたプロジェクトです。IPや製品の人気はありますが、「バンダイナムコエンターテインメント」という企業としてはまだまだ日本のすみずみまでお客様にアソビの文化をお届けできていないところがあるのでは? という課題意識から、これまで行ってきた都市を中心とした展開だけではなく、各地域へのアプローチを!という想いから始まりました。

坂本純一さん(以下、BNJ 坂本):より幅広く、新しい層のお客様、そして地域にも“エンターテインメント”を総合的にデリバリーしていくために、本格的に地域と交流する窓口として作られたのが、BNJ Projectです。地域の人と一緒にエンタメを作る様々なプロジェクトを“自分事”として体感してもらえるようになれば、結果として自社にも親しんでくれるのでは、と思っています。

IDL 白井:地域の人が自発的に楽しめるエンタメを一緒に作り出していくことで、自然とその地域が活性していくということですね。私たちIDL ソーシャルデザインチームも、プロジェクトを進めていく中で、地域の人たちが心から楽しめる仕組み作りが重要だと感じています。

IDL プロジェクト発足の経緯

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BNJ 菊田:メディア企業のインフォバーンがIDLを立ち上げ、地域活性化に取り組み始めた理由やきっかけはなんでしょうか?

IDL 白井:僕が所属するインフォバーンは、企業のブランド・コミュニケーション を支援しています。創業以来、主軸としてきたのはメディアパブリッシングですが、近年では企業の事業開発をお手伝いすることも増えてきました。そのための戦略策定と実行のプロセスを、社会や企業のさらなる事業支援に活かすために始めたのが「ソーシャルデザイン事業」です。

地域へのアプローチはその一環ですが、メディア事業を起点とするインフォバーンのケイパビリティを活かすことで企業・自治体・地元の方々のすべてに価値を創出できる持続可能な地域作りを目指しています。

BNJ Projectが、地域創生ではなく「地域協働」という理由

両プロジェクトとも、これまでの自社の知見を活かして新たなビジネスの可能性を検討しつつ、地域に貢献していきたいという想いがあります。

地方を「地域」、創生ではなく「協働」としている理由は、地域の人たちと共に活動していくというスタンスのため

IDL 白井:BNJでは地域の現状を知るために、2016年から1年間 にわたってさまざまな地域に実際に行ってみたとのことですが、そこで得られた気づきはどんなことですか?

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BNJ 坂本:我々が、地域で楽しめることを一緒に考える役割を担うことで、課題解決のお手伝いやきっかけ作りができれば、人が集まって、そこから新たなエンターテインメントを地域の人たち自身で作っていけるのでは、と気づきました。ただ与えられるだけのおもちゃやゲームは、手元に残らないかもしれないけれど、 自分たちでルールを作ってきたご当地の遊びなどは継承されて残りますよね。そういうものを残すことが、企業としてのサステナビリティへとつながっていく気がします。

IDL 白井:一般的には地方創生や地域活性化という言葉が使われているかと思いますが、BNJが、あえて地方を「地域」、創生や活性化を「協働」とする理由はなんでしょうか?

尾作慶一さん(以下、BNJ尾作):これまでの都市に対する地方という考え方ではなく各地域との取組を通じた取り組みであること、企業から一方的にイベントや商品を提供するのではなく、一緒にその地域の良さを生かした活動や新しいビジネススキームを作るパートナーとして、地域を捉えているからです 。

やってみて感じた、地域のキーマンの熱量の大切さ

BNJ 坂本:我々、BNJ Projectがこれまで手がけてきた施策には、例えば以下のようなものがあります。

47都道府県どんちゃん

『太鼓の達人』の『どんちゃん』を、地域や街のイメージキャラクターとして活用してもらう。地域特産品とのコラボグッズ制作、衣装コンテストや着ぐるみ等による催事盛り上げなど。

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木曽岬ファミリーマラソンwith太鼓の達人

木曽岬町(三重県)での地域独自の新たな取り組みとして行われた、『太鼓の達人』キャラクターとコラボしたファミリーマラソン。

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©BANDAI NAMCO Entertainment Inc.

ドッヂビー大会

調布市(東京都)で開催された、『太鼓の達人』キャラクターの特製ドッヂビー(布製のフライングディスク)を使って行う、ドッジボールとフリスビーを掛け合わせた競技の大会。

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©BANDAI NAMCO Entertainment Inc.

IDL 白井:強みであるキャラクターを軸に取り組んでこられたんですね。自治体や参加者からの反響はいかがでしたか?

BNJ 坂本:特に木曽岬マラソンは、熱心な地域のキーマンの方がハブとなって、現地でも一つの目的を持った運営が形作られていたおかげで「ぜひ2回目も!」と大好評でした。委員会に一般市民の方を交えるだけじゃなく、役場の方も入っているなど、その目的のために集まる流れができていることで、信頼関係も築きやすかったです。

IDL 白井:地域の人たちがどれくらいコミットできるかは、私たちのプロジェクトでもとても重要視している部分です。その地域に実際に行って対話をして、ビジョンを共有できるかどうか可能性を探ることが、相談→実施への決定要因になりますよね。

IDLがソーシャルデザインに注力する理由

【進行中の事例紹介】

IDLが現在手掛けている施策には、例えば以下のようなものがあります。

アクティブワーキング

企業と地域が出会い、「稼ぐ」きっかけをつくるプログラム。地域でのリモートワーク、フィールドワーク、ワークショップを通じて、事業開発を目指す。各地で開催している。

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丹後サイクル・リビングラボ

自転車を軸とした活動によって、丹後エリア(京都府)の活性化を目指す、地域と企業の協働事業。

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山城ドローン・リビングラボ(構想中)

ドローンを軸に、山城エリア(京都府)の活性化を目指す、地域と企業の協働事業。プロジェクト発足に向けて進行中。上すべて、インフォバーンKYOTO、株式会社イミカとの共同事業。

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ドローンテスト飛行時の撮影映像。撮影:ドローンエモーション

BNJ 菊田:いろいろなアイデアを実施までに落とし込むには、どうしているんでしょうか?

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IDL 白井:地域側、自治体側に熱意のあるキーマンがいるか。そのキーマンといかに連携していけるのかが重要ですね。また、専門家を現地に呼んで、第三者からのお墨つきを用意するケースも多いです。ビジネスとして自走していくまでの間は、地域の予算を要することもありますが、その先を見据えて、はじめから企業の投資を誘致できる取り組みにしていくことも大事でしょう。

BNJ 坂本:熱意のあるキーマンがいるかどうかは、やはり実現性に対して大きな違いがありますよね。

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BNJ 尾作:私たちでもそこは課題です。我々だけだとアイデアは面白くても、実現性・持続性は未知数。だからこそ、自治体や他の企業との連携や協力がとても重要だと感じていますし、これからも考えていきたい部分でもあります。

押しつけではない、みんなが“やらずにはいられない”仕組み作りを提案

【地域のつながりや連携の強化が必要なワケ】

IDL 白井:BNJはエンターテインメントの力で日本を元気にするとのことですが、今お話を聞いて、改めてエンタメの可能性を感じました。みなさんは、そもそも“エンターテインメント”とは、どのようにお考えなんでしょうか?

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BNJ 菊田:「私たちが地域の課題を解決します!」と言い切ってしまうのは、エンターテインメントの立場では、正直はばかられます。でも、「地域で楽しめることを一緒に考えてみましょう」というところから始めて、「楽しいからやらずにはいられない!」という状態にすることがエンターテインメントであり、BNJの役割かなと感じています。

BNJ 坂本:実際に楽しければ人が集まり、つながりができて、自然に継続性も生まれますからね。

IDL 白井:自社の得意なことを活かして、地域のつながりを強化しようとしている点は、お互い近いですね。持続的な取り組みを推進したり、仲間を増やしていったりするには「楽しさ」は欠かせません。「楽しいからやらずにはいられない!」というポイントは、僕たちのソーシャルデザイン事業でもっと取り入れていきたいと思います!

地域協働に取り組むようになったきっかけやアプローチはそれぞれ異なる、2つのプロジェクト。けれど、自社が培ってきた得意分野を活かして、地域と一緒に新たな楽しみやビジネスの仕組みを作り、日本を盛り上げていきたいという熱い気持ちは共通だと分かった前編でした。
後編では、BNJとIDLの現在の取り組みについて発表します!

地域のファン、交流人口を増やす。地域活性化の取り組み:BNJ×IDLプロジェクト座談会(後編) ≫≫≫

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【INFOBAHN DESIGN LAB.(IDL)について】
株式会社インフォバーン(本社:東京都渋谷区、代表取締役CEO:今田素子/代表取締役CVO:小林弘人)のデザインコンサルティング/イノベーション支援チーム。体験デザイン、テクノロジー、ブランド・コミュニケーション戦略の知見を活かし、新しい価値創造をもたらす製品・サービスの創出を通じ、企業のイノベーションを総合的に支援します。その一角を担う「ソーシャルデザイン」チームは、社会課題を発見し、それを解決するための持続的かつ創造的な仕組みづくりと価値創出を行っています。

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