世界に向けた新たなオリジナルIPを生み出したい!『CODE VEIN』制作チームの挑戦 アソビ×遊ぶ

世界に向けた新たなオリジナルIPを生み出したい!『CODE VEIN』制作チームの挑戦

ドラマティック探索アクションRPG『CODE VEIN』ができるまで

バンダイナムコの人気シリーズ『GOD EATER(ゴッドイーター)』制作チームの主要メンバーによって制作された、9月27日発売のドラマティック探索アクションRPG『CODE VEIN(コードヴェイン)』。この作品の制作秘話や、オリジナルIPをイチから生み出す魅力について、制作チームのみなさんにうかがいました!

探索アクションRPGは「努力が実感できる場所」。『CODE VEIN』誕生の経緯

飯塚啓太さん、吉村広さん、依田優一さん
左から『CODE VEIN』プロデューサーの飯塚啓太さん、ディレクターの吉村広さん、サブディレクターの依田優一さん

――『CODE VEIN』はどんなきっかけで立ち上がった企画だったのでしょう?

吉村:僕らが『GOD EATER 2 RAGE BURST(ゴッドイーター2レイジバースト)』の開発を終えて、『GOD EATER RESURRECTION(ゴッドイーター リザレクション)』(2015年)の開発をしている頃に、僕から「新しいチャレンジを行いたい」という話をしました。当時は海外市場も大きくなっていて、今回我々が追求した「探索アクションRPG」というジャンルでも多くの人気タイトルが生まれていました。こうしたジャンルに、これまでチームで培ってきた技術を使って挑んでみたい、というのが最初のきっかけです。

飯塚啓太さん、吉村広さん

――その時点で、核になるアイデアのようなものはあったのですか。

吉村:当初は色々な可能性を模索していて、例えばソーシャルゲームも視野に入れていました。ですが、これからより市場が拡大していくという意味でも、そして何より自分たちが「やってみたい」と思うものという意味でも、探索アクションRPGという形になりました。

『CODE VEIN』画面写真_2

――『DARK SOULS (ダークソウル)』シリーズを筆頭にした探索アクションRPGは難易度が高いものが多く、“死にゲー(=何度もリトライを繰り返しながら難局を乗り越えていくゲーム)”とも呼ばれますが、みなさんはこうした作品自体にどんな魅力を感じますか?

依田優一さん

依田:探索アクションRPGは、スタート地点から始まって、どんどん知らない場所を踏破していく、という感覚が魅力的なゲームです。行く先々で困難に出会って、それをクリアしていくと新しい景色が観られる。まずはそういった部分に、大きな魅力を感じます。

飯塚:また、何度も自分で挑戦して、敵を倒していくということが魅力的に感じられるジャンルですので、「負ける」ことについても、「もう一回やろう」という気持ちいいストレスが感じられますよね。だからこそ、最終的にクリアできたときの達成感が大きいと感じます。

飯塚啓太さん

吉村:自分を強化して、何度も挑戦して困難を乗り越えていくという意味で、プレイヤーの努力が結実するような魅力があると思っています。

――達成感は、自分が努力した結果生まれるものだ、と。

吉村:そう思うんです。何度もプレイして、考えていくことで蓄積された自分の価値が出来上がっていくという意味でも、アクションの魅力に加えて、自分のそれまでの努力が積み重なっていくRPG由来の魅力も感じられることが、こうした作品の大きな魅力だと感じます。『CODE VEIN』では、そうした探索アクションRPGならではの魅力を伝えつつも、同時に他にはないものをつくりたいと考えていました。

『CODE VEIN』画面写真_3

衰退した世界でバディとともに試練を乗り越える。「自分だけの物語」を生み出すための工夫

『CODE VEIN』画面写真_4

――作品の世界観については、どのように考えていったのでしょう?

吉村:今回は、我々が得意とするポストアポカリプス的な世界観(=文明が衰退した後の終末的な世界観)で、なおかつ「『GOD EATER』とは違う、まだ世の中にはないものを!」ということを考えていきました。最初にイメージしたのは、キービジュアルのような風景です。

『CODE VEIN』画面写真_5

吉村:ここでは世界が棘で貫かれていて、僕らが知っている近代的な建物が磔(はりつけ)になっています。まずはそうした、文明の墓場のような風景を想像しました。そこにワールドワイドでも認知されている吸血鬼のモチーフが重なって、ピタッとはまった感覚があったんです。吸血鬼は不死の存在ですから、何度も死んで蘇る(=何度死んでも立ち上がって挑戦する)という、『CODE VEIN』のゲーム的な体験からくる要素とも相性がいいものになると感じました。

――『CODE VEIN』の舞台は、人間が生き延びるために超常的な力を持つ吸血鬼になることを選んだ世界ですが、その選択をしたことで、登場人物たちは血を取り込み続けなければ自我が保てなくなってしまうという問題も抱えていますね。

飯塚:『CODE VEIN』に登場する吸血鬼たちは、人間よりも強い存在ですが、同時に弱さも持ち合わせているんです。超常的な力を手に入れつつも、吸血鬼には血が必要なので、結局今の人類と同じように苦しんでいます。人智を越えた強さを持ちながらも、同時にその「弱さ」を持っているということが、設定上の面白さになっています。

『CODE VEIN』画面写真_6

吉村:主人公は吸血鬼たちですが、僕らが『CODE VEIN』で描きたかったのは「人間の強さ」でした。それをコントラストを持って描くために、人ではないけれども、同じ悩みを抱えた存在として吸血鬼を設定していきました。作品の世界観に関しては、私が最初に大まかな作品の構想を固めた後に、シナリオ担当メンバーやデザイナーと話を詰めていきました。

――探索アクションRPGではキャラクターデザイン面でリアリティを追求していくタイトルも多いと思うのですが、『CODE VEIN』ではアニメのキャラクター的な魅力と、リアリティとの両方が追求されていることが印象的に感じます

『CODE VEIN』画面写真_7

吉村:世界に向けて発信する作品として、様々な方に目を引いていただけるものを考えて、アニメキャラクター的な魅力と、リアリティとの両立を追求しました。その中で、当初から言っていたのは、「影のディテールを追求したい」ということでした。リアリティは追求しつつも、アニメキャラクター的にあえて情報を飛ばして、そのうえで影のあるところとないところ、特に「影の中にどれだけ情報を詰められるか」を大切にしています。

『CODE VEIN』画面写真_8

また、最初に、ミア(・カルンシュタイン/CV:茅野愛衣)のキャラクターを考えた際、吸血鬼でありながらも、いきいきとした印象を与えたいと思い、肌のつややかさや瞳の輝きを、人を描くとき以上に丁寧に描いてもらいました。キャラクターの涙の表現にもこだわっています。各キャラクターの目の表現を通して、「今、何かを考えているな」と想像ができるように工夫したり。そうして、これまでにない生きた吸血鬼像を描きたいと思っていました。

――プレイヤーがミアをはじめとした相棒=「バディ」とともに戦いに挑んでいく、というゲームシステムも『CODE VEIN』の大きな特徴ですね。

依田:実は当初は、主人公がひとりで探索していく形式で開発を進めていたんですが、試作が進む中で、「相棒がいた方が面白いんじゃないか」というアイデアが出てきたんです。

『CODE VEIN』画面写真_9

――つまり、ひとりではなく、「誰かと一緒に何度も強敵に立ち向かっていく」と。

飯塚:はい。もちろん、最終的にはプレイヤーのみなさんが、自分のスキルによって乗り越えてもらうという部分は非常に大切にしています。ですが、バディと一緒に戦うことで生まれる魅力もあると感じるんです。バディがいることで心強い部分もありますが、最後は自分自身の力が試される――。そのバランスが、最終的によく取れたと思っています。

吉村広さん

吉村:戦闘シーンではない場面でも、バディが探索をともにする「相棒」として感じられるようにしたいと思っていました。ですから、バディとの関係性や距離感を感じていただけるように工夫していますし、戦闘シーンの立ち位置や、例えばハシゴをのぼるシーンなどのバディのモーションにも工夫を重ねています。プレイヤーのみなさんには「自然だ」と感じていただけると嬉しいですが、実はそのために多くの試行錯誤を重ねました。

飯塚:以前公開した試遊の段階と比べても、大きく進化したのはその部分ですね。完成版では、バディの動作やプレイヤーとの距離感が、かなり自然なものになっていると思います。

『CODE VEIN』画面写真_10

吉村:作中に登場する温泉も同様にこだわったポイントです。これは厳しい世界が舞台の『CODE VEIN』だからこそ、「癒しを感じられる場所をつくろう」と思って用意したものでした。また、プレイヤーのキャラクターカスタマイズに関しては、世界一のものができたのではないかと自負しています。『CODE VEIN』では本当に色々なキャラクターが作成可能ですので。

『CODE VEIN』画面写真_11

依田:同時に、アクションRPGとしての魅力はしっかりと表現しながらも、「アクションの要素に依存しすぎないタイトルにしたい」とも考えていました。ですから、アクションが苦手な方でも攻略するうえで有効な手段になる「錬血」というシステムを導入しています。攻撃をキャンセルできるポイントに関しても、様々な楽しみ方ができるよう考えました。

『CODE VEIN』画面写真_12

飯塚:「ブラッドコード」(=ジョブチェンジにも似たシステム。複数を組み合わせることで様々な戦い方が可能になる)もそうですが、みなさんがそれぞれに気に入ったバトルスタイルを見つけていただけるシステムを用意していますので、自分が最高だと思う戦い方で強敵に立ち向かっていただけると嬉しいです。

吉村:どうしても強い敵にぶつかってしまったときにも、戦い方を切り替えることで、別の可能性を追求することができます。これは、探索アクションRPGにはつきもののリトライの敷居を下げるという意味でも、秀逸なシステムになったのではないかと思っています。

5年をかけて完成した『CODE VEIN』。新たなオリジナルIPを生み出す中で感じたこと

『CODE VEIN』画面写真_13

――『CODE VEIN』は、制作開始時から約5年を経ていよいよ完成したタイトルだと思います。これまでの制作を振りかえってみて、何が一番大変だったでしょうか?

吉村:探索アクションRPGというのは、非常に考えることが多いコンテンツなので、やはり僕ひとりではすべての面で最適な答えを見つけることは難しい、という苦労がありました。ですから、今回関わってくださった方々にいかにコンセプトを提示し、それを広げて伸ばしてもらうか、ということは非常にこだわりましたし、喜びを感じた部分です。

――やはり、ゲームづくりはチームで成り立っているものだ、と。今回は新たにオリジナルIPを生み出すという意味でも、非常にやりがいのある体験だったのではないでしょうか。

飯塚啓太さん、吉村広さん、依田優一さん

吉村:さまざまな方々と協力しながら、何かひとつのものが形になっていくというのは、ゲームづくりの大きな魅力のひとつだと思います。また、RPGのストーリーというのは、次に行く場所を指し示して、次に向かうモチベーションをつくるものでもありますが、『CODE VEIN』ではあまりそれをやりすぎずに、プレイヤーのみなさんが「自分で探してもらう」ということにもこだわりました。そのため、最終的に通してプレイした感想をフィードバックしてシナリオに変更に加えたことで、一部マップをつくりかえる作業も生まれました。これは大変な大工事でしたが、結果的に全体のストーリーの魅力を高めることに繋がりました。

飯塚啓太さん

飯塚:やはり、『CODE VEIN』ならではの面白さをどういう形で出して、つくりきるのか、というところが大変だったと思います。また、ワールドワイドで対応する際に、言語の対応や各種ハードへの対応を同時にしてもらったことも、僕としてはみなさんに苦労をかけた部分です。これは、可能な限り様々な方に楽しんでいただくためにお願いしたものでした。

――いよいよ発売となりますが、『CODE VEIN』を通して、みなさんはどんな魅力を感じていただきたいですか?

依田優一さん

依田:『CODE VEIN』はプレイヤービルドをすることでさまざまなバトルスタイルを取ることが可能ですので、自分にあった戦い方/戦術を見つけて楽しんでいただけると嬉しいです。そういった体験の中で、「自分ってこんな人間なんだな」ということが分かるかもしれません。

吉村:本作では壮大な、ドラマティックなストーリー体験を用意していますので、様々な困難が待ち受けているとは思いますが、ぜひ最後までたどり着いて、自分自身のストーリーを完成させてもらいたいな、と思っています。結末に関しては、エンディングの分岐がありますので、自分のストーリーにたどり着いていただきたいですし、できれば何度も繰り返し遊んでいただいて、色々な種類の結末も楽しんでいただけるととても嬉しいです。

『CODE VEIN』画面写真_14

飯塚:探索アクションRPGは難易度が高い作品が多いため、ある意味ではこれまで敬遠している方もいらっしゃったのではないかと思います。もちろん、『CODE VEIN』はやり応えのある難易度の作品ですが、同時に心強いバディの存在もいますので、これまでこうした作品に触れたことがない方も、バディと一緒に困難を乗り越える楽しみを体感していただけると嬉しいです。各キャラクターには、それぞれを深堀したストーリーも用意されているので、自分のお気に入りのキャラクターや、自分に合った戦い方を見つけて、作品を楽しんでいただけたらと思います。

飯塚啓太さん、依田優一さん、吉村広さん

【取材後記】
オリジナルIPが生まれる背景には、長い時間をかけて、様々な人々のアイデアが集約されていくことが、取材を通して伝わってきました。『CODE VEIN』はやりこみ要素の非常に高い、何度も挑戦することで充実感が感じられるようなタイトルです。そうした作品の内容同様に、制作チームのみなさんも何度も苦難を乗り越えて作品を完成させてきたからこそ、お話から「ゲームをつくることの楽しさ」が、ひしひしと感じられるようでした。

取材・文/杉山 仁
フリーのライター/編集者。おとめ座B型。三度の飯よりエンターテインメントが好き。