『シャニマス』の裏側に迫る!高山Pが答える一問一答インタビュー【Part2】

2018年にスタートした『アイドルマスター シャイニーカラーズ』(以下、『シャニマス』)が、2021年10月に3.5周年を迎えました。アソビモットでは『シャニマス』3.5周年企画として、読者の皆さまから高山Pへの質問を大募集し、そのなかから厳選した質問を、高山Pに答えてもらいました。今回のPart2では、CMやプロモーション、SNS企画などマーケティングの視点からみた『シャニマス』と作品のこれからについてを語っていただきました!

Q:『シャニマス』のプロモーション(CMやツイッターキャンペーン等)において意識していることや、大事にしていることは何かありますか?

高山:CMのように大規模なものは『シャニマス』をご存じの方はもちろん、まだ知らない方もご覧になるので、どちらにとっても魅力的なものにできたら、と考えています。

例えば、3周年の際には香川照之さんにご協力いただき、シャイニーカラーズをご存じでない方へのフックを用意することで、そのうえで「アイドルってかわいいじゃん!」「おもしろそうだな」と感じていただきたいと思っていました。すでに遊んでくださっている方には、「香川さんは黛冬優子Pなんだ」など、皆さまで盛り上がっていただけたらうれしいな、と考えていました。

一方で、2周年のCMで企画した実写ドラマなどは、「アイドルをプロデュースする感慨深さ」を伝えるためのものでした。僕もそうでしたが、まだプレイしたことのない方には「アイドルプロデュースといっても、何をすればいいんだろう?」とイメージが湧かない方もいるはずです。

そこで、その魅力を伝えられるものとして、ドラマの企画を考えました。新人プロデューサーが新人アイドルたちに寄り添って、ともに努力をして、ステージに立つ姿を見て感動する――。「その気持ちこそがプロデュースだよ」と表現できたら、と思っていました。

Q:キャラクターを記号としてではなく一人ひとりまるで生きているかのように描写する『シャニマス』のシナリオが大好きです。最近の広告は『シャニマス』のシナリオやキャラクターの強みを意識しているように感じます。正直なところ今までの広告とガラッと変わった感じがするのですが、何か転機なようなものはあったのでしょうか。

高山:CMとしては1周年にYOSHIKIさんにご参加いただき、2周年が実写ドラマで、3周年は香川照之さんにご出演いただき……と毎回ガラッと変えていますが、これは我々にとっても、見てくださる方にとっても「今回はこんな感じなんだ!?」と新鮮に楽しんでいただきたいと思っているからなんです。

ご質問いただいたのは『Dye the sky.』を使った3.5周年の特別WEBCMのことかと思いますが、あのCMはこれまでの『シャニマス』でアイドルたちの内面の深い部分や、覚悟の強さを感じる言葉を訴求したことがなかったな、という発想で制作しました。結果としてかなり喜んでいただけたと思っていますが、こうした方向性で続けていくというわけでなく、また新しいことに挑戦したいと思っていますので、楽しみにしていただけたらうれしいです。

『Dye the sky.』はこちらから試聴できます!

Q:今年の夏ごろに行われていたノクチルのTwitter企画、とても楽しませていただきました。 アイドルが質問を募って回答をくれるという体験が新鮮で、自分の質問が採用されるのをワクワクしながら更新を待っていた記憶があります。あのような企画をやる時には、あらかじめ答えたい質問の方向性が決まっていて、それに合う質問が採用されているのでしょうか? それとも集まった質問からおもしろいと感じたものを採用しているのでしょうか?

高山:あのシリーズはライブ感を重視していて、事前に回答を用意しているわけではなく、朝~昼ごろいただいた質問の中からシナリオチームが回答するものを決め、夕方にチェックをして夜にお答えしました。

そのなかでも、ノクチルは市川雛菜が答える形だったので、彼女が選びそうな質問を中心に選んでいます。アイドルとリアルタイムで同じ時間を過ごしているという感覚で、彼女たちを身近に感じていただけていたらうれしいです。

また、ノクチルの場合は『天塵』のオフショットをあげたりもしましたが、これは「今回初めてイラストを使ってみよう」という話になり、それなら彼女たちの歩みが伝わるようなものにできたらいいんじゃないか、と考えたものでした。ゲーム内ではプロデューサーさん全員とリアルタイムに、同じ時間軸でコミュニケーションをしていくのはなかなか難しいと思いまして、そのため、このような企画は今後も折を見てやっていけたら、と思います。

Q:『シャニマス』ではゲーム本編のほかにもマンガでの展開も行われていますが、 それぞれのマンガ作品の作者さんとは内容についてどれくらい連携をとって進めているのでしょうか?

高山:WEB4コマの『アイドルマスター シャイニーカラーズ』は、作者のギミー先生に次のシナリオやカードの情報をお渡しして、そこから自由に考えていただいている部分が大きいです。コミカライズの『アイドルマスター シャイニーカラーズ』については、KADOKAWAさんやしのざきあきらさんが中心になって、内容や今後の展開についてご相談しながらイルミネーションスターズの物語を描いていただいています。

ゲーム単体では語られていない部分についてマンガで描いてくださるのが印象的です。また、コミカライズの第1話、プロデューサーとアイドルが出会う部分は、櫻木真乃の最初の出番であり、プロデューサーの顔が描写される最初のシーンでもあったので印象的でした。真乃だけではなく、風野灯織、八宮めぐるをフィーチャーした回もありますし、ゲームを知っていると、「だからこうだったんだな」と考えが広がるようなものにもしていただいています。

『アイドルマスター シャイニーカラーズ シャニマスえぶりでい!』

Q:『アイドルマスター ポップリンクス』(『ポプマス』)や『アイドルマスター スターリットシーズン』(『スタマス』)のように『シャニマス』のアイドルが参加する作品や、15周年記念曲「VOY@GER」のようなシリーズの合同曲では、高山Pは監修などの作業に関わっているのでしょうか。メンバー選出などについてもエピソードがあれば知りたいです。

高山:他のゲームに『シャニマス』のアイドルたちが参加する場合、基本的には僕やシナリオチームで監修をしていて、『スタマス』は分量が多いためシナリオチームを中心にしっかりと内容を見させていただいています。ただ、大本の考え方としては「それぞれのチームが作る『シャニマス』を規定しすぎないようにしよう」と思っています。

『スタマス』で「プロジェクトルミナス」に参加しているアイドルたち(白瀬咲耶、小宮果穂、大崎甜花、大崎甘奈、杜野凛世、田中摩美々)をどう魅力的に描くかについても、『スタマス』チームが一番考えてくれていますので、そこにお任せするほうがいいものになるだろうと思っているんです。そのため、僕らの関わり方としては、基本的にはお任せをしつつ、彼女たちへのパーソナルな部分や考え方がブレないように監修させていただく形です。

『アイドルマスター』シリーズの15周年記念曲「VOY@GER」の場合は、基本的には錦織敦史監督が中心となり、シリーズの16年とその先を描くなかで『シャニマス』についても考えていただきました。今回、錦織さんのキャラクターデザインでアイドルたちが動いた時に、いつもとはまた違う新鮮な魅力を感じ、僕も「すごい!」と思いました。

『アイドルマスター』シリーズの15周年記念曲「VOY@GER」

Q:私はファッションが好きなのですが、『シャニマス』の衣装は現実世界においても素敵だと思うため、普段のコーディネイトでも参考にさせていただいています。 最近ではNANGAとのコラボレーションで田中摩美々のダウンジャケットが発売されましたが、今後コラボまたはグッズとして、ゲーム内の衣装を模したアパレルを販売する展望はありますか?

高山:コラボレーションしてくださる相手方あってのことですが、こうした取り組みは僕らとしても素敵なことだと思っています。日常のなかに『シャニマス』が存在する方法のひとつとして、アパレルの存在はとても大きいですよね。普段使いしやすいけれども、分かる人が見れば分かる、というバランスのものが支持を得やすいのかな、と思っています。

ゲーム内のファッションについては、おそらく、そのアイドルによって見る雑誌や買い物に行くエリアが違うだろうということを、アートチームが「この子はこんなものが好きだよね」とイメージしてくれていて、服選びにも反映させてくれていると思います。

例えば、田中摩美々だったら原宿っぽいイメージですし、三峰結華だったら、高円寺辺りの古着を着ていそうなイメージですよね。一方で、月岡恋鐘だと、駅ビルのファッション街で買い物をしているイメージがあったり――。あくまで個人的なイメージで、それが固定というわけではないですが、「どんな生活導線でいる子たちなのか」ということはある程度想像をしています。

一方で、1年目の冬ごろに出した西城樹里のプロデュースアイドルのSSRの私服(「【とびっきりジンジャー】西城樹里」)は、小綺麗なドレスっぽい服装でしたが、あの場合は樹里が勇気を出して選んだのかな?と妄想していただけたらいいな、と考えていました。そういったことが、シナリオとつながっているとより良い形になるな、と思っています。

【とびっきりジンジャー】西城樹里

Q:こんにちは、高山さん。 韓国で『シャニマス』を遊んでいるPです。 今後の『シャニマス』で海外での展開で何か考えていることはあるのでしょうか? まだいろいろと考えるのは難しい時期かもしれませんがコラボカフェ開催や海外ライブイベントなどを心から願っております。

高山:今のような情勢でなければ、韓国も含む国外でもさまざまな地域でイベントを開催し、『シャニマス』の魅力を知っていただきたいという気持ちなのですが、直接向かうにはまだ難しい時期だとは思っています。ですが、そのなかでもできることがあれば、前向きに考えていきたいです。

海外で遊んでいただく方の場合、言語や文化も違いますし、『シャニマス』は1から10までを語るというよりも、行間を読んでいただくタイプの作品でもあります。そうしたことを乗り越えてプレイしてくださって、本当にありがとうございます。

Q:高山さんは今後の『シャニマス』をどうしていきたいと思っていますか?

高山:『シャニマス』は4月に4周年を迎えて、いよいよ5年目に入ります。そう考えると、かなり長い期間、プロデューサーさん(※1)にプレイしていただいていますが、そのなかでも、初期と変わらずに、アイドルたちを魅力的に感じてもらうことで、さまざまなメディアを通して「『シャニマス』っていいな」と思っていただけることを目指しています。

今後、情勢によっては有観客のイベントの機会が増えるかもしれませんし、オンラインはオンラインで別の可能性をお見せできるんじゃないかと思います。この約4年間で選択肢が増えたと思っているので、それを活かしつつ、新しいことに挑戦するのも忘れずに、引き続き楽しいと思っていただけるようなコンテンツにしていきたいと思っています。

※1 プロデューサーさん:『アイドルマスター』シリーズのファンのこと

Q:『シャニマス』のこれまでの変化についてはどう感じていますか?

高山:『シャニマス』の魅力って、本質的には「アイドルたちの魅力」だと思うんですね。そのため、まずはアイドルが魅力的であるという部分が、ずっと変わっていないといいな、と思っています。

そのうえで、「アイドルの人数が増えて、その分魅力も広がったね」と感じていただけていたら、とてもうれしいです。アイドルそれぞれの持つ魅力的な部分を、シナリオやイラスト、楽曲などで切り取っていく、という大枠は本当に変わっていないと思うので、やれることは増えていますけど、でも、やることはそんなに変わっていないのかな、と感じます。

――最後に、今回質問をくださったプロデューサーさんたちへのメッセージをお願いします!

高山:今回はたくさんの質問をお寄せいただき、本当にありがとうございました! こんなふうに多くのご質問をいただけるぐらい、皆さまが熱量をもって遊んでくださっていることをとてもうれしく思いますし、改めて気合を入れ直そう、という気持ちになりました。直近では4周年に向けて、アイドルたちの良さをお届けできるように頑張りたいと思っています。今後とも、プロデュースをよろしくお願いいたします!

2回に分けてお送りした高山Pへの質問、いかがだったでしょうか? 『シャニマス』は4月24日に4周年を迎え、5年目に突入します。これからの展開についても、ぜひお楽しみに!

プロデューサーという職業やキャラクターデザインの裏側などを語っていただいた【Part1】はこちら↓

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取材・文/杉山 仁
フリーのライター/編集者。おとめ座B型。三度の飯よりエンターテインメントが好き。