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『テイルズ オブ』シリーズのキーパーソンが語るシリーズの現在地と未来【前編】

1995年12月15日の『テイルズ オブ ファンタジア』発売から26年を迎え、27年目に突入した『テイルズ オブ』シリーズ。本シリーズ各タイトルのプロデュースやイベント運営などに関わるメンバー4名の対談を行い、シリーズとの出会いや『テイルズ オブ』の魅力について伺いました。

ファンタジー世界を舞台に、キャラクター達の冒険・成長・絆の物語が描かれるRPGとして人気を博し、2021年12月15日で26周年を迎えた『テイルズ オブ』シリーズ。家庭用最新作の『テイルズ オブ アライズ』(以下、『アライズ』)やスマートフォンアプリ初の完全オリジナルタイトルとなる『テイルズ オブ ルミナリア』(以下、『ルミナリア』)もリリースされました。

今回は、『テイルズ オブ』シリーズのIP総合プロデューサーであり『アライズ』プロデューサーの富澤祐介さん、『ルミナリア』をはじめ『テイルズ オブ ザ レイズ』(以下、『ザ レイズ』)などアプリタイトルのプロデューサーを務める池野泰広さん、『テイルズ オブ』シリーズのファンイベント『テイルズ オブ フェスティバル』(以下、テイフェス)などのイベントをプロデュースする根岸麻衣子さん、そして『Tales of YouTube Channe』管理人且つIPプロモーターとしてシリーズ全体のプロモーションに携わる石川 結貴さんの4名に集まっていただき、『テイルズ オブ』への思いを語ってもらいました。

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富澤 祐介

『テイルズ オブ』シリーズのIP総合プロデューサー。バンダイ所属を経てバンダイナムコゲームス(当時)で『GOD EATER』シリーズに長年従事したあと、『テイルズ オブ ヴェスペリア REMASTER』より『テイルズ オブ』シリーズのプロデュースに携わる。

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池野 泰広

『テイルズ オブ ザ ワールド ダイスアドベンチャー』、『テイルズ オブ シンフォニア ユニゾナントパック』を制作後、スマートフォンアプリ『テイルズ オブ リンク』に携わり、現在は『ザ レイズ』、『ルミナリア』のプロデューサーを務める。

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根岸 麻衣子

テイフェスや舞台公演「テイルズ オブ ザ ステージ」など、シリーズのイベントを長年担当するイベントプロデューサー。営業としてPlayStation®2用の「テイルズ オブ シンフォニア」に携わった後、『テイルズ オブ』攻略本制作に携わり、商品化のライセンスアウト業務を経て、現在まで『テイルズ オブ』シリーズのイベントの企画・運営を担当している。

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石川 結貴

『テイルズ オブ』シリーズのIPプロモーターであり、公式YouTubeチャンネル「テイルズ オブ YouTube チャンネル」の管理人。同チャンネル内ではTOY-kunとしても登場している。『テイルズ オブ ベルセリア』の営業や、ライセンス担当(グッズやコラボ施策)などを経てIPルームのメンバーとなり、IP全体のプロモーションを中心に担当。

――25周年記念タイトルとなる『アライズ』や『ルミナリア』もリリースされ、2タイトルの開発を走り切ってのご感想はいかがですか?

富澤:状況的にファンの皆さんとのコミュニケーションのチャンスを作るのも難しくなってきているなかで、この2年間は僕含めチームのみんなでどれだけ良いものをご提供できるかを考えてきました。一つの形として、今年に『アライズ』、『ルミナリア』という新規タイトルをリリースすることができましたが、同時に様々な困難もあった中で、何が起きてもチームが一丸となって、そしてファンの方にも様々な面で支えていただきながら、なんとかここまでは来ることができたな、という実感があります。

『テイルズ オブ』シリーズのIP総合プロデューサー 富澤さん
『テイルズ オブ』シリーズのIP総合プロデューサー 富澤さん

――今回は『テイルズ オブ』シリーズについてお話を伺っていきたいのですが、まずは皆さんと本シリーズとの出会いについて教えてください。

富澤:プレイヤーとして初めて触れたのは2008年に発売された『テイルズ オブ ヴェスペリア』で、当時は大人でもこんなに楽しめるんだな、と童心に帰るような思いがあって印象的でした。その時は自分がそのシリーズの25周年という節目に携わることができるとは思ってもいませんでしたね。

仕事として『テイルズ オブ』に関わり出したのは2016年で、先日発売を迎えた『アライズ』もその時に企画がスタートしました。この5年間はまさにシリーズと向き合いながら走ってきた、ある意味僕自身のターニングポイントの年でもあったかなと思います。

池野:10年ほど前にチームに入って PlayStation®3版の『テイルズ オブ シンフォニア』(以下、『シンフォニア』)の移植に関わらせていただいて、そこから改めて勉強の意味も込めて触りはじめたんですけど、最初に『テイルズ オブ ハーツ』をプレイしはじめたら、当時35歳だったのもあってキャラクター同士の距離の近さに驚かされたんですよね(笑)。

石川:シングが最初からコハクに一目惚れしていますし、愛情表現も若々しいですからね(笑)。

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池野:ただ、ほかの過去作に触れていくうちにIPのおもしろさがわかってきて、大きな転機になったのが『シンフォニア』の移植でした。当時、正直どんな反応が返ってくるか不安だったんですが、でもテイフェスで発表した時に盛り上げてくれるキャストさんや暖かく迎えてくれるお客さまを見て、10年経ったあとでもこんなに作品を愛してくれているんだというのがすごく印象的で、『テイルズ オブ』シリーズに身をささげていきたいと思いました。

黒いシャツを着ている男性

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『ザ レイズ』、『ルミナリア』のプロデューサー 池野さん

根岸:入社後にPlayStation®2版の『シンフォニア』を営業職として担当することになり、それが最初の『テイルズ オブ』との出会いになります。『シンフォニア』は当時からCMもたくさん流れていて、misonoさんの主題歌もよく聞いていたので、世の中的にすごく認知度の高いタイトルを自分で営業できるというのがすごくうれしかったのを覚えています。

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シリーズのイベントプロデューサー 根岸さん

石川:私は中学2年生のころに『テイルズ オブ ジ アビス』(以下、『アビス』)を遊んだのが最初で、当時はあまりゲームを買えなかったのもあって、こすり倒すように9周くらいは遊んでいました(笑)。当時の私に『アビス』が刺さったあとに高校時代は『ヴェスペリア』が心をくすぐってくれて、それ以来はシリーズを通してのめり込んでいきました。大学時代に過去作をさかのぼって遊んだので、クロスオーバータイトルを含めてひととおりの作品には触れてきました。

仕事としては、営業に入って2年目に『テイルズ オブ ベルセリア』の担当をすることになったのが初めてでした。開発側に立ちたかったなという思いもありつつ、営業も楽しかったですね。体験会で試遊の誘導をしないといけないのに、お客さまと一緒に「ここいいですよね!」みたいに盛り上がっちゃったりして(笑)。

帽子をかぶった男性

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IPプロモーション及び、公式YouTubeチャンネル「テイルズ オブ YouTube チャンネル」管理人 石川さん

長く愛される『テイルズ オブ』シリーズの魅力とは

――『テイルズ オブ』シリーズの魅力というのは、どんな部分にあるのでしょうか?

富澤:これだけ歴史があってタイトル数もありますし、作り手や売り手も入れ替わっていくので、このシリーズの良さって何だろうという議論はつねに交わしています。

もちろんそれぞれの意見がありますが、やはり根幹となるのは、キャラクターやパーティーだと思います。ひとりではなく仲間と一緒に旅をする体験を通して、絆や成長が強く感じられること。彼らのを成長を通じて、プレイヤー自身も一歩踏み出す勇気をもらえるような体験ができること。それが『テイルズ オブ』シリーズを長く遊んでいただいている大きな理由のひとつかな、という確信をもっています。

石川:富澤さんのお話をファン目線も織り交ぜて補足するような内容になりますが、20数年前のゲームに出てくるキャラクターの続きの物語や番外編がいまだに見たくなる、というのは『テイルズ オブ』ならではだと思うんですよ。キャラクターたちが完全なアバターではないからこそ、彼らのことを自分のように、親友や家族、恋人、あるいは彼らが人生の先輩のように感じられ、人生の岐路に立った時にあのキャラクターとの出会いがそっと背中を押してくれる。そういうプレイヤーとキャラクターとの距離感、つながりがあるのが魅力ですよね。

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根岸:キャラクターや作品にスポットが当たるコンテンツをお客さまに提供し続けている、というのもありますよね。毎年、いずれかの作品が周年を迎えますので、イベントなどでその作品に触れられる場を提供することで、過去作であっても今のお客さまに知ってもらう、楽しんでもらうことができるのは『テイルズ オブ』の強みかなと思います。

池野:イベントもそうですし、『テイルズ オブ ザ ワールド レディアント マイソロジー』(以下、『マイソロジー』)をきっかけに、いわゆるオールスター的なコンテンツも出し続けてきていますからね。『アライズ』が発売されたのちに、スマートフォンアプリやテイフェスにも登場しているように、本編のリリースが終わりではなくて、そこがある意味はじまりでもあるんですよね。これも『テイルズ オブ』の魅力であり、このシリーズらしい部分でもあると思います。

制作陣が語る『テイルズ オブ』シリーズの裏側

――これまで『テイルズ オブ』シリーズに関わるお仕事をされてきたなかで、特に思い出に残っているのはどのようなことですか?

石川:私がチームに入ったのはIPルーム(※1)というものができてからで、ちょうどIP全体としてひとつの方向を向いていこうという取り組みをしはじめたタイミングだったんです。それまでは各コンテンツ、それぞれの担当事業ごとに個別に目標を立てて動いていたのが、『テイルズ オブ』というひとつの作品群として同じ目標に向けて動くようになったんですよね。

そこでIPルームのメンバーに加わることができたので、昔からシリーズのファンだったからこそ、開発だけでなく販売などの関係者も含めみんなで『テイルズ オブ』を盛り上げていくぞ、という機運が出てきたことはとても思い出に残っています。

※1 IPルーム:IP(キャラクターなどの知的財産)を軸に家庭用ゲーム、モバイルコンテンツ、ライブイベントなどの事業を行う組織。ここでは『テイルズ オブ』シリーズを軸とした事業を行う組織のこと。

根岸:新しい挑戦ができたという意味で『テイルズ オブ ゼスティリア』は印象的でした。苦労も多かった作品なのですが、ゲーム化と並行してアニメ化も行ったタイトルで、アニメ制作の現場を初めて見ることができましたし、さまざまなメディア展開ができたという意味でも思い出深いです。

アニメやゲーム本編を手掛けてくださったufotableさんが『テイルズ オブ』に対して本当にアツい思いをもってくださっていて、お互いにディスカッションを重ねながら模索していったことを今も鮮明に覚えています。

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池野:僕は基本的にスマートフォンアプリでクロスオーバータイトルを手掛けているのですが、思い出という意味では自分がゼロから立ち上げた『ザ レイズ』ですかね。クロスオーバーとしては3本目になるタイトルで、端末の性能が上がってきたこともあって差別化のために3D技術を導入したり、原作を重視したキャラ設定にしたりして、目標も高く掲げていました。でも最初の1年はそのタイトルの魅力をどうやってお客さまに届けていくか盛り上げるかという部分ですごく苦労したんです。

それでも1年間の中で、原作の記憶を継承した歴代キャラクターを出したことで、より思い出に近い姿のままキャラクターたちが登場することの魅力を理解していただけたり、運営としてもそれを上手くアピールできるようになってきたりして、ようやく歯車が回りはじめました。おかげで今は4年ほど運営も続いていて、歴代キャラクターを好きでいてくださるファンのなかでひとつのポジションを築けたので、ここまでやってきてよかったなと思います。

スーツを着た男性

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富澤:『アライズ』だけでなくシリーズ全体の総合プロデュースも承って走りはじめたので、今皆さんがお話しになったことは全体から見ても大きなターニングポイントで、それぞれのことがあったから今があるな、と思いながら聞いていました。

『テイルズ オブ』を担当するようになって、これまでシリーズとしての展開がやり切れていない印象もあったので、自分がプロデュースするのであればお客さまとの接点を多くもちたい、という話は当初からさせてもらっていました。そのなかで、『ザ レイズ』が運営の3年目にファンミーティングを行ったんですよね。

池野:あれもチャレンジングでしたね。クロスオーバータイトルということもあって、熱量の高いファンの方々との濃いセッションを実現できました。

富澤:ブランド全体でもそういう機会をもちたいと思って、ファンの方のご要望を直接お聞きしたり、わたしたち制作陣が考えていることを目の前でお伝えしたりするような、すごく距離感の近いイベントも開催したんですけど、その時に皆さんの目がキラキラさせながらお話されていたのがすっごく嬉しくて。ファンの方がこれだけアツい思いで待ってくれているんだから、とよりいっそう真剣に期待に応えようと思いますし、開発者やプロデュース側の目線も合わせられるので、こういうコミュニケーションはもっと増やしていきたいなと思っています。

最近では石川くんと一緒にYouTubeにも出て、毎月何本も映像収録を行っていますし、オフィシャルブログで開発者のメッセージも発信しています。改めて、この5年間はファンの皆さんに双方向のやり取りがあり得るシリーズなんだ、という印象をもっていただくためのチャレンジを重ねてきたなと思います。

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継承され、進化していく『テイルズ オブ』チームの強みとは

――長い歴史の中で制作体制も変わってきたとは思いますが、『テイルズ オブ』に携わるチームの強みとは何でしょう?

富澤:まずひとつは、旧テイルズスタジオという職人的に『テイルズ オブ』の良さをゲームとして作り上げてきたかけがえのないチーム、これを母体とする現バンダイナムコスタジオの『テイルズ オブ』チームがあります。そこに最大限のリスペクトをもったうえで、我々はシリーズを未来に向かってどう拡大していくのかを話し合っています。

石川くんの話にもありましたが、5年前までは開発やプロデュース、宣伝や販売、イベントといったチームがそれぞれで動いていたんですよね。今は密な連携を行ってどれも欠けてはいけないものとして動いているので、そういったチーム感が我々の良さかなと思っています。

池野:バンダイナムコエンターテインメントの中のチームとしては、家庭用とスマートフォンアプリ用とで以前は分かれていたのが、今はひとつのチームになっているんです。なので家庭用とスマートフォンアプリ用とで毎日のように開発状況の共有はしていて、だからこそ『アライズ』は発売直後にスマートフォンアプリでも最速でイベントに登場することができて、これまでとはお客さまに提供できるペースも大きく変わっています。

富澤:イベント側との連携についても、今は月に一度の定例会で情報共有をして、ここで連携できないか、みたいな話はしています。最初は無理やり会議を一緒にして、今週は何の話をするんだろう、みたいな時期もあったんですよ(笑)。

手ぶりしている男性

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根岸:そうなんですよね(笑)。でも実際に顔を合わせると、そういえばこういう相談がしたかった、みたいなことが出てくるんです。私はイベントを担当する前は権利関係に携わる仕事をしていたんですけど、やっぱりあくまでもゲームがあったうえでの二次展開という側面があったので、開発サイドとのあいだに薄い壁みたいなものはあったんですよね。

定例会を開くようになってからはゲーム側の状況が見えやすくなって、こちらからイベントの相談や提案をしやすくなりました。そういう意味で、連携部分は最近すごくよくなってきているなと思います。よりチームで動いているという気がしますね。

富澤:石川くんなんか、2つの部署に机があったもんね(笑)。

石川:そうなんですよね。最初チームに入った時、『テイルズ オブ』のライセンス担当とプロダクションとで机が2席あって、しかも9階と11階で絶妙に遠いという(笑)。でも、どちらにも顔を出すことができたおかげで、何か聞きたいことがあれば石川に相談してみよう、と思ってもらえたのは個人的にはありがたかったです。

チームとしていい点で言えば、性別も年代も偏っていなくて、1年目の若手からそれこそ25年近く『テイルズ オブ』に関わっていらっしゃるようなベテランの方もいて、チームとしての幅はすごく広くなっています。最近は外国語が得意なメンバーも入ってきて、海外目線も入ってくるようになっているので、チーム全体として新しいステップを踏み出せているのかなと思いますね。

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『テイルズ オブ』に携わるうえで大事にしていることや、これまでの挑戦、これからの挑戦について伺った座談会の後編はこちら↓

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取材・文/村田征二朗
1989年生まれのライター。しゃれこうべ村田、垂直落下式しゃれこうべライターMなどの名でも活動し、コンシューマータイトルやスマートフォンアプリのゲーム関連記事を執筆。原稿料の8割はプロレス観戦のチケット代に消える。